何を調べたの?
妊娠中にお母さんがまわりの人からどれくらいソーシャルサポート(「一人じゃない」と感じられる、人とのつながりや支えのこと)をうけたかが、3歳時の子どもの発達と、どう関係しているかについてを調べました。
対象は?
エコチル調査に参加した約6万8千組の親子を対象にしました。
どうやって調べたの?
・お母さんが妊娠中に「気にかけてくれる人はいるか」「相談相手はいるか」「信頼できる人と交流する頻度」「気軽に悩みを話せる人の人数」を質問し、ソーシャルサポートの多さを点数にしました。点数が低い順に、Q1~Q5のグループ(5分位)に分けました。
・子どもが3歳の時の、「ことば(コミュニケーション)」「体の動き(粗大運動)」「手先の動き(微細運動)」「考えて行動する力(問題解決)」「人とのかかわり(個人・社会)」の5つの力と、妊娠中のソーシャルサポートとの関係を分析しました。
どんな結果が出たの?
妊娠中にうけたソーシャルサポートが最も少ないお母さんの子どもと比較して、ソーシャルサポートが多くなるほど、3歳の時の発達に遅れがある割合が少ないことがわかりました。
母親が妊娠中にうけたソーシャルサポートの多さと3歳の子どもでの発達の関連
◎このグラフは、次のような条件の影響をできるだけ取りのぞいた分析結果にもとづいて作られています。
母体年齢、両親の最終学歴、世帯の収入、在胎週数、出生体重、産後うつ、ほかの子どもとの同居、パートナーとの同居
一番上のQ1グループ(分位)は母親がうけたソーシャルサポートが最も少なかったグループです。
一番下のQ5グループは、ソーシャルサポートが最も多かったグループです。
横軸:多変量オッズ比(グラフの■)→ソーシャルサポートと発達の関係を表した数値です;
Q1を基準として、ソーシャルサポートが多くなるほど、グラフの■が左にある(=値が小さい:発達に遅れのある子どもの割合が少ない)ことを示します。横棒は95%信頼区間で、その関係の確かさを示す幅です。
今後の課題は?
・子どもの発達のようすは、保護者の人が答えたもので、専門家が直接評価した結果とは少し違うかもしれません。
・保育所・幼稚園などに通っていたかどうかはこの研究では考慮されていません。
どんなことがわかったの?
妊娠中にお母さんが周りの人に支えられていると感じることは、子どもの発達に良い影響を与える可能性があるとわかりました。
もっと詳しく知りたい人は こちら(和文抄録) または こちら(PubMed)