何を調べたの?
アトピー性皮膚炎の子どもは、腸の中の細菌のバランスがかたよっており、このかたよりは便秘にも関係しているといわれます。そこで、1歳時に便秘がある子どもは、その後アトピー性皮膚炎になりやすいかを調べました。
対象は?
エコチル調査に参加した子どものうち、生まれつき病気のあった子どもや、データが不足していた子どもをのぞいた約6万2千人を対象にしました。
どうやって調べたの?
1歳での排便回数を「ほぼ毎日」「週5~6回」「週3~4回」「週2回以下」に分け、「週2回以下」を「便秘」としました。アトピー性皮膚炎は保護者の回答や医師の診断に基づき調べました。1歳半までの便秘と、1歳半~3歳にアトピー性皮膚炎になるかどうかの関係を分析しました。
どんな結果が出たの?
1歳半~3歳に22.6%の子どもがアトピー性皮膚炎になりました。
1歳で便秘だった子どもは、ほぼ毎日排便する子どもに比べ、3歳までにアトピー性皮膚炎になる可能性が18%高くなりました。
1歳での排便の回数とアトピー性皮膚炎のなりやすさの関係


◎このグラフは、次のような条件の影響をできるだけ取り除いた分析結果にもとづいて作られています:
母親の年齢、体格(BMI)、喫煙、最終学歴、アレルギー歴、出産の方法、子どもの性別、出生体重、授乳方法、集団生活の有無、ペットの飼育
()内の数値:95%信頼区間 「本当の値が入っていそうな範囲」を示します。この範囲が1をまたがない時、その結果は「はっきり差がある」と言えます。(3歳までのグラフの、赤色の数値。)
今後の課題は?
・便秘を排便回数だけで判断しており、国際的な診断基準とは異なります。
・保護者の答え方により、排便回数の区分にずれが生じた可能性があります。(※論文の著者による補足です)
・抗菌薬の使用など、腸内環境に影響する要因は考慮されていません。
・3歳以降の発症もあるため、さらに調べていくことが必要です。
どんなことがわかったの?
1歳の時に便秘があった子どもは、3歳までにアトピー性皮膚炎になる可能性が少し高いことがわかりました。
もっと詳しく知りたい人は こちら (和文抄録) または こちら (PubMed)
The association between constipation and subsequent risk of atopic dermatitis in children: the Japan Environment and Children’s Study. Takano Y et al. Environ Health Prev Med. 2023.




