何を調べたの?
意外に思われるかもしれませんが、私たちの体にはセレンやマンガンといった金属が体内に微量に存在し、それらの金属は体の機能を保つために必要なものになっています。
一方、水銀は環境中に存在し、健康への影響が心配されている金属で、体内でセレンと影響しあうことが知られています。
この研究では、お母さんが妊娠している時に血液の中に含まれるセレン・マンガン・水銀の量を調べ、おなかの中で赤ちゃんがどれくらいそれらにさらされていたかを推定し、それが赤ちゃんが3歳になるまでのアレルギー疾患(アトピー性皮膚炎、食物アレルギー、ぜんそく、アレルギー性鼻炎など)の発症と関係するのか調べました。
対象は?
エコチル調査に参加した 約9万5千組の親子 を対象にしました。
どうやって調べたの?
- お母さんの妊娠中に、血液中の水銀・セレン・マンガンの濃度を調べ、濃度が低い順に5つのグループ(Q1~Q5分位)に分けました。
- 子どもが1歳・1歳半・2歳・3歳の時に、アレルギー疾患 と診断されたかどうかを調べました。
- 母親の妊娠中の血液中の金属の濃度とアレルギー疾患の発症との関係を分析しました。
どんな結果が出たの?
- 水銀・マンガンの濃度と、子どものアレルギー疾患の発症に明らかな関連はみられませんでした。
- セレンでは、濃度が高いほど、アレルギー疾患の頻度が低下することが示されました。
- このセレンによる影響効果は、水銀の濃度の上昇で低下しました。
妊娠中のお母さんのセレン血中濃度と、子どもの3歳までのアレルギーのなりやすさ




◎このグラフは、次のような条件の影響をできるだけ取り除いた分析結果にもとづいて作られています:
母親の年齢、住んでいる地域、水銀・マンガンの血中濃度、採血時の妊娠週数、魚の摂取量、妊娠前の体格(BMI)、喫煙、飲酒、最終学歴、世帯収入、結婚しているかどうか、仕事の状況、母親のアレルギー歴、出産回数、妊娠期間、子どもの性別
グラフの見かた
縦軸:母親の血液中のセレン濃度;Q1は濃度が一番低いグループで、Q1からQ5にいくほど濃度が高いグループになります。
横軸:発生比(グラフの■)→アレルギー疾患のなりやすさを表した数値です;Q1を基準として、セレン濃度が高くなるほどグラフの■が左にある(=値が小さい:アレルギー疾患の子どもの割合が少ない)ものが多い傾向がみられます。横棒は95%信頼区間で、「本当の値が入っていそうな範囲」を示します。横棒が1をまたがない時、「はっきり差がある」といえます(グラフの黄数字)。
横軸:発生比(グラフの■)→アレルギー疾患のなりやすさを表した数値です;Q1を基準として、セレン濃度が高くなるほどグラフの■が左にある(=値が小さい:アレルギー疾患の子どもの割合が少ない)ものが多い傾向がみられます。横棒は95%信頼区間で、「本当の値が入っていそうな範囲」を示します。横棒が1をまたがない時、「はっきり差がある」といえます(グラフの黄数字)。
今後の課題は?
- 今回の研究で測定されていない、ほかの要因が影響している可能性があります。
どんなことがわかったの?
- 妊娠中のお母さんの 血液中のセレンの濃度が高いと、幼児期の子どものアレルギー疾患が少なくなることがわかりました。
もっと詳しく知りたい人は こちら (和文抄録) または こちら (PubMed)
<この研究論文>
Prenatal exposure to selenium, mercury, and manganese during pregnancy and allergic diseases in early childhood: The Japan Environment and Children’s study. Miyazaki J et al. Environ Int. 2023.
Prenatal exposure to selenium, mercury, and manganese during pregnancy and allergic diseases in early childhood: The Japan Environment and Children’s study. Miyazaki J et al. Environ Int. 2023.




