部活動や勉強、趣味などに忙しい思春期の生活の中で「眠気を覚ましたい」「集中したい」という理由から、また手軽な嗜好品として、「カフェイン」に興味を持つお子さんもいるかもしれません。
近年では、エナジードリンクなどカフェインを人工的に添加した清涼飲料水が数多く販売され、子どもにとって身近なものになっている一方で、過剰な摂取による健康への影響が心配されています。
カフェインは、身近な飲み物や食品に含まれる成分ですが、成長や健康維持のために欠かせない栄養素ではありません。特に子どもや青少年では、眠気覚ましや集中力を高める目的で、カフェインを日常的に摂ることは勧められません。子どもでは大人より少量のカフェインでも影響が出ることがあり、摂りすぎに注意が必要です。
カフェインの作用
カフェインには中枢神経を刺激する働きがあり、一時的に眠気を感じにくくしたり、集中力を保つ助けになることがあります。
しかし多量に摂取して中枢神経が過剰に刺激されると、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠や、消化管への刺激による下痢や吐き気、嘔吐を引き起こすことがあります。
さらに大量に摂取した場合には、けいれんや不整脈などの重篤な中毒症状をきたし、命にかかわることもあります。
身近なものに含まれるカフェイン

カフェインは、コーヒーやお茶類の他、コーラ、チョコレートなど、身近な食品に含まれます。
農林水産省では、食品中のカフェイン量の例として、コーヒーでは100 mLあたり約60 mg、紅茶は約30 mg、せん茶・ほうじ茶・ウーロン茶は約20 mgと示しています(1)。
その他、カフェインは眠気防止薬、風邪薬、酔い止め薬などの市販薬に含まれることもあります。
エナジードリンクに注意
上記の食品や医薬品に加え、注意が必要なのは、眠気覚ましなどをうたったエナジードリンクなどの飲料です。
エナジードリンクは、子どもでも自動販売機やコンビニエンスストアなどで手軽に購入でき、味や見た目がジュースに近い製品もあります。そのため、意識しないうちに・あるいは思っている以上に、多くのカフェインを摂取してしまう可能性があります。
海外でも、青少年によるエナジードリンク摂取の健康への影響が懸念されています。
米国疾病予防管理センター(CDC)は、エナジードリンクは青少年には推奨されないとする米国小児科学会の見解を紹介しており(2)、リトアニアなど、未成年への販売を法律で制限する国もあります(3)。
エナジードリンクや眠気覚まし用飲料は、100 mLあたり32~300 mg(製品1本あたり36~150 mg)と、製品により含まれるカフェイン量が大きく異なります(1)。小容量で高濃度の製品や、1本でコーヒー数杯分に相当するカフェインを含む製品もあり、注意が必要です。
そのため、製品のラベルや成分表を見て、カフェイン含有量を確認することが大切です。
摂取量の目安
カフェインに対する感受性(影響の受けやすさ)には個人差があります。そのため、日本では、カフェインの一日摂取許容量(ADI)は設定されていません。国際的にもADIは定められていませんが、海外の機関では、健康への影響を考えるうえで参考となる摂取量の目安が示されています。
例えばカナダ保健省では、カフェインの1日あたりの最大摂取量の目安を、13歳以上の青少年では体重1 kgにつき2.5 mgまでとしています(表)。
体重45 kgの青少年にこの目安をあてはめると、1日のカフェイン摂取量の目安は約110 mgになります。これは、コーヒーでは約190 mL、紅茶では約370 mL、せん茶・ほうじ茶・ウーロン茶では約560 mLに相当します。
エナジードリンクや眠気覚まし用飲料では、製品によってカフェインの含有量が大きく異なりますが、約40〜350 mLでこの目安に達する計算です。つまり製品によっては1本で目安量を超えてしまう場合があります。市販の飲料は1回で飲みきることも多いため、注意が必要です。
また、これらはあくまで海外機関が示す目安です。同じ量でも、あらわれる症状や程度は人により異なり、体格、体調、睡眠時間、薬の使用状況などによっても、カフェインの影響は変わります。

「摂りかた」も大切
カフェインの摂取量とともに、気をつけたいのは「摂りかた」です。
例えば、コーヒー、エナジードリンク、お茶を別に飲んだ場合、さらに風邪薬を内服した場合など、それぞれは異なるものでも、体の中ではカフェインの量が合計されます。このような「重ね摂り」には注意が必要です。
また、夜にカフェインを摂取すると寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりすることがあります。眠気をカフェインで一時的に抑えても、睡眠不足そのものが解決するわけではありません。
エナジードリンクに関しては、運動時の水分補給を目的とするスポーツドリンクとは異なります。部活動や運動の前後に、「水分補給の代わり」に飲まないようにしましょう。
親子で確認しよう
カフェインを含む食品や医薬品をすべて、身体に悪いものと決めつける必要はありません。
どの食品や医薬品に、どのくらいの量のカフェインが含まれているかを知り、摂取量の目安や摂りかたについて正しい知識を身につけることが大切です。
エナジードリンクなどカフェインを含む飲料は、「1本なら大丈夫」と考えず、飲む前にラベルでカフェイン量を確認する習慣をつけましょう。夕方以降は控える、カフェイン入り飲料と市販薬を重ねない、眠気が続くときはカフェインに頼るのではなく睡眠時間や生活リズムを見直す。
このようなことを親子で一緒に確認してみましょう。
エコチル調査大阪ユニットセンター
小児科 野崎 史子
【参考資料】
(1) 農林水産省
https://www.maff.go.jp/j/syouan/seisaku/risk_analysis/priority/hazard_chem/caffeine.html
(2026年6月8日アクセス)
(2) 米国疾病予防管理センター(CDC)
https://www.cdc.gov/school-nutrition/energy-drinks/index.html
(2026年6月8日アクセス)
(3) European Parliamentary Research Service (EPRS).
https://www.europarl.europa.eu/thinktank/en/document/EPRS_BRI%282025%29779236
(2026年6月8日アクセス)
(4) 食品安全委員会
https://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_caffeine.pdf
(2026年6月8日アクセス)




