小児のレストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)と睡眠障害について-

・レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)ってなに?

 レストレスレッグス症候群をご存じですか?
別名むずむず脚症候群とも呼ばれ,その名前の通り脚を中心として「むずむずする」などの不快感を主症状とする病気です。多くの場合,夜間に眠れなくなるなどの睡眠の問題を伴うことから,睡眠障害国際分類第3版では睡眠関連疾患として位置づけられています。大人だけではなく小児においても見られる疾患で,小児の有病率は100人に2~4人と言われています。

 

・発症する原因

 この疾患が起こる原因やメカニズムについては、まだはっきりとは解明されていませんが、現在のところ、ご家族に同様の経験があるなどの遺伝的な素因、血液中の鉄分不足、脳内の神経伝達の問題、「成長痛」との関連など様々な要因が考えられています。

 

・レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)の症状

主な診断基準は
1)不快な脚の感覚に伴って脚を動かしたくなる
2)横になったり座ったりしている安静時に生じるあるいはひどくなる
3)歩いたりストレッチすることにより軽減する
4)夕方から夜間にて症状が強くなる

といった 4つに加えて,これらの症状が,筋肉痛,静脈うっ血,下肢浮腫,関節炎,こむら返り,特定の体位における不快感などでは説明できない場合をいいます。下肢の不快感の訴えは「むずむず」だけではなく,痛みや熱感,「虫が這っているような」,「ビリビリする」など多彩な表現をなされるのが特徴です。
 
 脚の不快感の訴えがなくても,脚の指に力を入れたり,脚どうしや布団・壁などにこすったり押しつけたりといった行動がみられることがあります。規則正しい生活による睡眠指導で改善するものから,なかなか寝られず歩き回る,夜中の中途覚醒を繰り返すといった重症例まで様々です。
 
 また,日中においても,眠気や居眠り,注意・集中力を欠く,抑うつや反抗的な行動をとるなど,情緒・行動面での問題が生じることもあり,注意欠如・多動症児の約1/4にむずむず脚症候群が合併することも知られています。

 

・改善するために心掛けること

 もしこの病気が疑われる場合には,就寝前に入浴や冷たいシャワー,マッサージ,短時間の歩行などを行う,就床前の過度な運動やテレビ・ゲーム,カフェインなどを避ける,規則正しい就寝と起床を心がける,血液中の鉄分が足りない場合は鉄分を補うことが大事です。改善が見られない場合には,睡眠外来などの専門医への受診をお勧めします。
 

エコチル調査大阪ユニットセンター
特任研究員 宮嵜 潤二

 

[資料]

・一般社団法人小児神経学会サイト 小児神経医がお答えします!小児神経Q&A
「Q42:むずむず脚症候群について教えてください。」
https://www.childneuro.jp/modules/general/index.php?content_id=49

・新生むずむず脚症候群友の会
http://www.muzumuzu.link/             (2019年11月1日アクセス)

[文献]

1)加藤久美. むずむず脚症候群. 小児内科. 2018; 50(7): 1147-9
2)福水道郎. 子どもたちによくみる睡眠関連疾患. チャイルドヘルス. 2017; 20(10): 761-6

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