増えている子どものナッツアレルギー
ーークルミ・カシューナッツにご注意を
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「うちの子、クルミを食べたら口の中がかゆいと言うのですが……」。近年、外来でこうしたご相談が増えています。
食物アレルギーは今や子どもたちにとってありふれた病気で、有症率はおよそ5%、小学校のクラスに1人はいる計算です。

原因食品といえば鶏卵・牛乳・小麦が代表格、というのがこれまでの常識でした。ところが最近、日本で「ナッツ類(木の実類)」によるアレルギーが急増し、新たな健康上の脅威となっています。

 

急増しているのはクルミとカシューナッツ

ここでいう「ナッツ」に、実はピーナッツ(落花生:らっかせい)は含まれません。
ピーナッツは豆の仲間で、木になる「木の実(きのみ)」とは区別されます。

いま特に増えているのは、クルミとカシューナッツによるアレルギーです。背景にはこれらの輸入量・消費量の増加があると言われますが、詳しい理由はまだよく分かっていません。困ったことに、ナッツ類のアレルギーは、鶏卵・牛乳・小麦に比べて自然に治りにくいという特徴があります。

 

検査で診断できるようになりました

一方で、患者さんにとってうれしい進歩もあります。

以前は、実際に少量を食べて反応をみる「食物経口負荷試験」という、危険を伴う検査が必要になることも少なくありませんでした。しかし近年、クルミの成分「Jug r 1(ジャグアールワン)」、カシューナッツの成分「Ana o 3(アナオースリー)」という、診断精度の高い血液検査が広く行えるようになりました。これにより、危険を伴う負荷試験をせずに診断できる場合が増えています。

気になる症状があれば、まずはかかりつけ医にご相談ください。

 

診断されたら ―― 除去と「食品表示」の確認

診断されたら、症状が出たときの対応をあらかじめ決めておくことと、原因のナッツを食べない「除去(じょきょ)」が基本になります。クルミやカシューナッツは、パンや菓子、ドレッシング、カレーのルウなど、思いがけない食品に使われていることがあり、食品の原材料表示の確認が欠かせません。

ここでも朗報があります。
アレルギー表示が義務づけられる「特定原材料」に、2023年3月にクルミが、さらに2026年4月にはカシューナッツが加わりました(図1)。パッケージの表示を手がかりに、以前よりも安全に食品を選べるようになっています。
とはいえ、量り売りや外食などでは表示がないこともあるため、お店やメーカーに確認する習慣が安心につながります。

 

もう一つ覚えておきたいのは、1種類のナッツがだめでも、すべてのナッツがだめとは限らないということです。やみくもにすべてを避ける必要はありません。

ただし、カシューナッツとピスタチオ、クルミとペカンナッツは、それぞれ両方に反応することがほとんどです(図2)。どちらか一方にアレルギーがあれば、もう一方も一緒に除去しておくのが基本です。

ナッツ類のアレルギーは、重い症状(アナフィラキシー)を起こしやすく、生涯続く可能性も高いことが知られています。

学童期・思春期の子どもたちでは、外食や進学・お友達との食事など生活の幅が広がるなかで、生活の質(QOL)が下がってしまうことも報告されています。

アレルギーのあるお子さんとご家族が正しい知識と備えを身につけ、まわりの人たちも「同じ社会にアレルギーのある子どもがいる」ことに少し心を配る。そうした一人ひとりの積み重ねが、誰もが安全で、制限の少ない社会につながっていくと信じています。

 
エコチル調査大阪ユニットセンター 小児科
竹村 豊

 

 
<参考資料>
(1)消費者庁「食品表示基準の一部改正について」
(特定原材料に「カシューナッツ」を追加/2026年4月1日施行、経過措置2年)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_labeling_act/assets/food_labeling_cms201_260401_13.pdf
(最終アクセス日:2026年7月9日)

(2)消費者庁「くるみの特定原材料への追加及びその他の木の実類の取扱いについて」
(2023年3月改正/経過措置終了・2025年4月1日完全施行) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/assets/food_labeling_cms204_230309_03.pdf
(最終アクセス日:2026年7月9日)

(3)日本小児アレルギー学会「食物アレルギー診療ガイドライン2021」
(木の実類アレルギーの診断・管理、コンポーネント〈Jug r 1/Ana o 3〉診断)
https://www.jspaci.jp/guide2021/ (最終アクセス日:2026年7月9日)

(4)消費者庁「令和6年度 即時型食物アレルギーによる健康被害に関する全国実態調査」
(木の実類・カシューナッツによる症例の増加) https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/food_sanitation/allergy/assets/food_labeling_cms204_241031_1.pdf
(最終アクセス日:2026年7月9日)

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