母乳による子育てのお話 その1-

 母乳の良い点について、子どもと母親の双方から整理してみましょう。

今回は、子どもにとっての利点です。

最適な栄養源です

 母乳には、たんぱく質、糖質、脂質、水分、ビタミン類(脂溶性と水溶性)、ミネラル(カルシウム、リン、鉄、亜鉛、マグネシウム)など、子どもの成長に必要な栄養素が適切な割合で含まれています。

  • 母乳のたんぱく質は消化がよくて、消化機能が未熟でも負担がかからないようにできています。母乳のたんぱく質の一種であるカゼインは、胃酸で凝固しても固くなりません。
  • 母乳のたんぱく質には、酵素が40種類も含まれていて、消化を助けます。
  • 糖質の80%以上は乳糖です。乳糖は小腸でガラクトースとグルコースに分解されてエネルギー源となります。ガラクトースは、中枢神経系の発達や腸内ビフィズス菌の増殖に関与します。
  • 脂質の90%は中性脂肪です。高濃度の必須脂肪酸、リノール酸、α-リノレン酸、高度不飽和脂肪酸などが含まれます。脂質分解酵素のリパーゼも含まれるので、脂質が効率よく消化されます。
  • 母乳中の鉄や亜鉛は吸収率がよいことがわかっています。

免疫機能を向上させます

 細菌やウイルスに対する抗体、分泌型の免疫グロブリン A、酵素、白血球など、赤ちゃんの免疫機能を強化させてくれる物質が含まれています。
 また、母乳のたんぱく質に含まれるラクトフェリンは、鉄と結合するたんぱく質で、免疫制御やビフィズス菌の増殖に関与します。糖質のオリゴ糖は、感染防御機能と関わりがあります。

顔全体の筋肉やあごを発達させます

 母乳を飲むときには顔全体の筋肉を使います。あごの発達にもよいことです。

母乳の授乳中に子どもは五感を使います

 子どもは母乳をのむ時、においで母親を認識して(嗅覚)、乳を吸う音や母親のささやき声を聞き(聴覚)、乳房や肌の感触を感じ(触覚)、母親の顔の表情や目の動きを見ます(視覚)。 母乳の利点に加えて、授乳の動作が、母親への愛着や信頼といった心を発達させてくれます。

衛星的です

 母乳は、新鮮で適温で、細菌汚染される機会が少ないので衛生的です。

初乳についてもお話したいと思います。
*初乳とは、出産後4日頃までに出る黄色みを帯びた粘稠度の高い母乳のことです。
 初乳には、分泌型免疫グロブリン A の濃度が、通常の母乳の10-20倍も高く含まれていて、 免疫を担当する細胞であるリンパ球も高濃度に含まれています。出産後の母親からは、その子どもの状態に合った母乳が分泌されると考えてよいわけです。
 それから、母乳は、1日のうちの時間帯、1回の授乳時間の最初と最後の方でも、成分が変化し味も変化することがわかっています。(次回は母親にとっての利点などです )

和歌山県立医科大学医学部公衆衛生学
北野 尚美

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