子どもの衣服選びについて-

 大寒の時季が近づき、寒さがさらに厳しくなってきました。私たちが子どもだった頃に比べると、衣服の素材の種類が増えて加工も複雑となり、その結果として、防寒や保温機能の高いもの、軽量化が進んだもの、速乾性のものなど、便利なものが増えてきました。これに伴って、子ども用として販売されている衣服の素材やデザインも多様になり、大人用衣服のサイズだけを小さくしたような衣服もみかけるようになり、また、子どもが興味をもちにくいものや、理解できにくいのではと思われる図柄が入った衣服も多くみかけます。

 今回は、子どもの特徴や発達段階に合わせた衣服選びについて考えてみたいと思います。

活発な身体活動を促す

 子どもは立ったり座ったり、うつむいたり背伸びたり、体をねじったりと盛んに活動しています。身体を動かす際に、堅い生地が突っ張って不便を感じた場合でも、それを言葉で表現して訴えることは、子どもにとってなかなか難しいことです。そのため、衣服選びの際には、堅い生地、金具などは注意が必要です。皮膚に直接に触れる部分に、堅い素材や金具類が使われていた場合には、擦過傷や打撲傷など皮膚に思わぬ傷をつけてしまう原因となることもあります。また、屋内外など周囲の環境の変化による体温上昇や発汗に対応するためには、特に乳幼児期では、下着をこまめに交換することや、重ね着によるこまめな枚数調整が有効ですし、また、洗濯に適していることも大切な要素です。

フードや飾りと事故防止の視点

 フード付きの衣服や、襟元に飾りがある衣服が、子ども用として比較的多く販売されています。ところが、子どもが夢中で遊んでいる最中に遊具や他の子どもの手足などにひっかかったりするなどで、首に巻き付いたり、強く引っ張られた場合には、窒息や首の骨の損傷など重大な事故を引き起こす危険性があります。そのため、衣服のデザインや装飾品について、特に衣服の襟回りのものは、見た目のかわいさや保温などの利点のみでなく、 不慮の事故を防止する視点をもって点検することが非常に大切です。

自分で脱ぎ着することを促す

 子どもが楽しんで衣服の脱ぎ着に取り組めることは、精神的な発達のみならず、手先の細かな動作や協調運動など、多方面から発達を促す効果があります。袖口や裾口を強く絞ったデザインや、堅すぎる生地、装飾が多くて基本構造がわかりにくい場合などは、子どもに脱ぎ着の困難を感じさせてしまうことになります。子どもの年齢と発達段階に応じて、自分で脱ぎ着をできる、前後がわかりやすいデザインや、前開き、大きなボタン、ウエ ストにゴムが使用されているものなどを選びましょう。
 衣服選びには機能的なものだけでなく、子どもが着たがる服、周囲の大人が着せたい服など、さまざまな思いが加わります。衣服は、子どもとの間でコミュニケーションが膨らむきっかけとなることも多く、子どもの日常 生活の重要な要素です。子どもの年齢と発達段階に合わせて、衣服の選択を楽しめるとよいですね。

 
和歌山県立医科大学地域・国際貢献推進本部地域医療支援センター
北野 尚美

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