百日咳とワクチン-

 今回は、11-12歳ごろに接種を推奨されている2種混合ワクチンに任意追加を推奨されている百日咳という病気についてのおはなしです。

 はじめに、百日咳とはどのような病気なのでしょうか。百日咳は、突然激しく咳き込み、その後ヒューと笛を吹くような音が聞こえる咳が特徴です。咳き込んで吐くこともあります。生後3か月未満の赤ちゃんでは、息ができなくなり、ひどい場合は死亡することもあります。学童期や成人では、咳を長期に認めるものの、赤ちゃんに起こるような典型的な咳発作はなく回復に向かうため、“ちょっと長引く風邪”というくらいの軽症で診断は見逃されやすいとされてるのですが、菌の排出があるためワクチン未接種の新生児や乳児に対する感染源として注意が必要といわれています。

 日本国内では、毎年3,000の小児科機関から数千人の患者さんが報告されていましたが、2018年から、「診断された人は全員報告しましょう」という全数報告の方針にかわったところ、成人を含めて約16,000人の患者さんがいることがわかりました。(図1)

 百日咳の予防としては、赤ちゃんに4種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風・百日咳・ポリオ)の接種が推奨されていますが、この時についた免疫は小学校入学前には少なくなっていきます。例えば、2018年のデータでは、百日咳の抗体をしっかり持っているお子さんは9歳では30%未満で、百日咳にかかる患者さんの多くが小学生でした。そのため、任意にはなりますが、年長さんのときに3種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風・百日咳)を追加でうつことと、11-12歳で定期接種として推奨されている2種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風)を3種混合ワクチン(ジフテリア・破傷風・百日咳)に変えることの推奨が、日本小児科学会から出されています。

 現在は、コロナウイルス感染前と比較して、報告数は大幅に減っていますが、生活様式が変わるとまた増加する可能性もあります。必須のものではありませんが、11歳~12歳の2種混合ワクチン接種の際の参考になればと思います。

 

エコチル調査大阪ユニットセンター 産婦人科
川西 陽子

 

【参考資料】

日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」>A-08 小学校入学前に接種すべきワクチン
日本小児科学会の「知っておきたいわくちん情報」>B-05 四種混合ワクチン
国立感染症研究所ホームページ 「百日咳とは」
国立感染症研究所 感染症流行予測調査グラフ 抗体保有状況(百日咳)

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