子どもの肥満-

 子どもが成長するには栄養としての食事が不可欠です。しかし、その食事は少なすぎても多すぎても成長にはマイナスとなります。食事が少なすぎれば栄養不足となるので成長できないことは想像できると思いますが、では、食事が多すぎた場合はどうなるのでしょうか?

 子どもがたくさん食べるとどんどん成長していくから良いのでは?とお考えの方もいると思いますが、確かにその通りに大きく成長します。しかし、ここで2つの大きな問題が起きる可能性があります。1つは、成長が早まることで思春期も早く開始してしまう可能性です。思春期が早く開始してしまうと、小学校の高学年から中学生で成長は止まってしまい、最終的には小柄になってしまうことがあります。もう1つは、昨今の問題となっている生活習慣病です。必要以上に食べて過ぎてしまった余分な栄養は、脂肪として体に蓄えられます。この脂肪は食事が食べられなくなった時のための栄養ですが、これがいつまでも消費されないまま蓄えられ続けると、血液の流れを障害したり血糖値が上がり易くなったりと、高血圧や動脈硬化、糖尿病といった生活習慣病へと進行する原因となります。

 身体の成分で脂肪の占める割合が多い状態を肥満と呼び、子どもの肥満の程度は肥満度やBMIパーセンタイルという形で表現します。一般的には肥満度が用いられていますが、性別、年齢、身長に応じた標準体重に対して、+20~+30%超過した体重を軽度肥満、+30~+50%なら中等度肥満、+50%以上なら高度肥満といいます。

 下表は平成25年度の全国の5~17歳の肥満度別の割合を示しています。子どもの肥満は年齢とともに増加していますが、10歳くらいを境にその割合は頭打ちになっています。しかし、高度肥満だけは別で、年齢を重ねるごとに増えています。この高度肥満こそが問題であり、小児期で生活習慣病になってしまうか、ならない場合でも多くは成人肥満へと移行し、生活習慣病になる危険が高い群と考えられています。全国的には、子どもの肥満は日本の北と南の県に多い傾向があります。大阪府では小学生の肥満は全国平均を下回っていますが、年齢とともに全国平均を上回るようになり、高度肥満の割合も多くなっています。子どものうちに、いかに肥満を悪化させないか、特に高度肥満にさせないかが、将来の生活習慣病の予防につながるのです。

 肥満の一番の原因は食べ過ぎにあります。ここで言う食べ過ぎとは、日々の運動も含めた消費カロリー以上に食べているという意味です。あまり食べていないと思っていても、体重が増えていけば、一部の病気を除くと、それは食べ過ぎということを意味します。消費カロリーの多くは基礎代謝といって、じっとしていても消費するカロリーで占められており、さらに子どもでは成長に使われるカロリー消費も加わります。運動だけで消費するカロリーは実際には僅かですが、運動には基礎代謝を高める効果があり、さらに自宅でのごろごろした時間が減るために、間食を防止する効果もあります。10歳以降に子どもの肥満割合が停滞するのも、地域や学校で運動をする機会が増えるからだと考えられます。高度肥満では運動が苦手になりがちで、運動参加の機会が減るために、間食する機会が増えて肥満がさらに悪化していく悪循環に陥ってしまいます。

 肥満から抜け出すこと、いわゆるダイエットについて沢山の情報が溢れていますが、沢山のことを実行することは長続きしません。もっとも、そのような規則を守れない背景が肥満を起こしたわけですので、ただ一つ、継続して守るべきことは『良く噛んで食べる』ことです。ヒトが満腹感を感じるには20分ほどかかることが知られおり、食事を早く食べていると、満腹を感じた時には既に食べ過ぎた状態になっています。良く噛んでゆっくりたべることで、同じ量を早く食べるより確実に満腹感が得られます。この場合、何かを抜くとか何かだけ食べるとかいうダイエットは、栄養障害になってしまう危険があるので、特に子どもでは身長の伸びに悪影響を及ぼすため絶対に避けるべきです。子どもの間は無理な減量は不要で、食事を見直し、バランス良く全体的な食事量を減らせばいいのです。身長が伸びている間は体重が現状維持で十分であり、身長が伸びていけば自然と肥満は解消されてくるからです。

 早食いは大食いにつながるため、肥満を避けるためにはバランスの良い食事を良く噛んで食べることが重要です。これは何も子どもの肥満に限った事ではありません。子どもだけに勧めるのではなく、家族みんなで、まずはここから実践されては如何でしょうか?

 
エコチル調査大阪ユニットセンター 小児科医
高桑 聖

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