母乳による子育てのお話 その2-

 前回は母乳の子どもにとっての利点をお話しました。今回は、母親や家族にとっての利点です。

産後の回復と健康を促してくれます

 産後の母親の体は、さまざまなホルモンが働いて、体調を整えて健康を保つようにできています。子どもが乳房を吸うことが刺激となって、それらホルモンの分泌が促されます。

  • オキシトシンというホルモンが分泌されます。オキシトシンは、子宮収縮ホルモンです。 産後に、大きくなっている子宮の収縮が促され、母親の体の回復を助けます。
  • プロラクチンというホルモンが分泌されます。プロラクチンには、母乳分泌を促す役割があって、授乳期には排卵が抑制されるようになっています。
  • コレシストキニンという消化管ホルモンが分泌されます。このホルモンは、分娩後の母親の体が、半年から1年をかけて妊娠前の体重に回復するのを促す働きをします。

産後に再び一体感を感じることで、心の安定を助けてくれます

 妊娠の約10か月をかけて、胎動やお腹のふくらみとともに、母親には、へその緒でお腹の中の子どもとつながっている一体感のような感覚が強くなってきていると思われます。ところが、分娩を境にへその緒が切れることになり、生まれた子どもは体外の生活に順応し始めます。
 産後、母親が時に喪失感のようなものを感じ、寂しく感じる、悲しくなるなどといったことがあります。肌を接触させる授乳の行為は、心の安定を助けてくれるといわれています。

授乳経験の有無は、閉経前のの乳がんと卵巣がんの発症に関係することがわかっています

 少々先のことになると思いますが、女性の乳がんと卵巣がんの発症との関係についてです。授乳経験がない場合に、ある場合と比較して、発症のリスクが高いことがわかっています。

 さて、母乳による子育てには良いことがいくつもあることがわかりました。一方で、乳汁の分泌量の不足や、栄養素の不足、子どもの体重や皮膚の湿疹など、母乳との関係を心配される母親が比較的多いことがわかっています。
 産後しばらくから子どもが4か月になるころまでに、母親が不安やイライラ感を感じやすいこと、睡眠不足や食事摂取不足、疲れすぎ、子育てが楽しくないと感じることも珍しくないことがわかっています。そのような場合、産院の助産師やお住まいの市町保健センターの保健師に、早めにご相談されるようおすすめします。
 また、乳房マッサージなど乳汁分泌を促す努力を熱心にされた場合でも、必ずしも十分に分泌してくれない乳房もあります。直接に母乳を飲ませたくても、子どもあるいは母親の健康の理由などによって、医師から特別な指示を受けている場合もあります。そのような場合には、母乳の代わりとして工夫を重ねて開発された「育児用ミルク」の出番となります。衛生的に丁寧に育児用ミルクを調乳して、子どもを胸に触れるように抱いて、目をみて話しかけながら授乳しましょう。

 母乳であっても育児用ミルクであっても、自信を持って授乳していただきたいと思います。仮に、母乳を十分に与えることが出来ない場合でも、負い目を感じることはありません。
エコチル調査大阪ユニットセンターのコールセンターでも悩みやご相談を伺うことが出来ます。
 
最後に、ご参考にしていただけるホームページとして、厚生労働省「授乳・離乳の支援ガイド」をご紹介させていただきます。http://www.mhlw.go.jp/shingi/2007/03/dl/s0314-17.pdf

  
和歌山県立医科大学医学部公衆衛生学
北野 尚美

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